人間の教育

教育のこれから 直面する問題

明治維新を経て富国強兵を進め、日本を列強の一員に押し上げようと進んできた教育思想は、第二次世界大戦での完全敗北という形で一旦終止符を打たれました。その後、GHQなどの介入を受けつつ、民主国家としての青少年育成を掲げて戦後の学校制度がスタートしますが、その内実には確固たる目的観を欠いたままだったといえるでしょう。そのため、戦後の高度成長期に合わせて人的資源を生産する学校制度に終始し、結局のところ、子どもたちに経済的豊かさ以外の価値観を示すこと無く時が過ぎていきました。一応にも経済成長がなされ、戦前からの精神的な遺産が、大人たちの道徳観念という形で残っているうちは表面化しなかった事柄も、世代が完全に交代し、経済的な成長に限界が見えたあたりで一気に噴出するようになります。

 

知識技術は一応持っていても、それを正しく社会の中で活かすことができない人間、ただ生きていくだけでもとても難しい非常にひ弱な人格、バブルも弾けて、各種の問題が社会問題として表面化する中で浮き彫りなってきたのは、そうした形での教育の無力さでした。

 

新指導要領では「生きる力」という表現で涵養が目指されたその特質ですが、結局の所曖昧模糊としているままで、一つの答えとして始められたゆとり教育も、根本の基盤が確認されないままに行われた結果、ただ単に児童の学力の低下を招いただけで、いったい何を得られたのかはっきりしないという結末でした。